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ヒサナガドットビズのフランス通信

アンティークドアーの発掘 その4

田舎の定食アルザスの北、ドイツとの国境の周囲一帯に“黒い森”と呼ぶ大森林が昔からあり、そこで採れた木材がフランスの家具、建具などの材料になったと言う。樫、楢、胡桃などがそれぞれの地方に運ばれ地方特有のデザインで今日の基礎をなしている。このフランスも他の先進国と同じで手間ヒマ掛ける木工業は衰退し、今ではEU以外の共産国や中国アジアから輸入するというアホだ。しかし、日本人が欧米に憧れつつも日本の昔を忘れないように、フランス家具、建具に対する郷愁を強く持っているのは理解できるし、ここの扉屋の親父のようにしっかりと蓄えているのも有難い。
さて、田舎の定食屋に戻ろう
こんな田舎に来て“ニース風サラダ“なんて食いたくもなかった。田舎なりに都会風?のメニューを載せているのは好きじゃないので”今日の定食・・・ポテトフライと鱒のレモンバター“を注文した。地酒のロゼとイル・フル・タンというデザート付で8€はまさしく天晴れ定食屋だ。
腹膨れれば眠くなるはどこの国でも同じ。戦い前にボーっとしてなるものか・・と、適当に残しつつ最後のカフェを流しこんで相棒とワタシは立ち上がった。
「ノワゼット、どうだ?」昼食後、戻ってきた我々をタダの冷やかし客じゃないと見た扉屋の親父が声を掛けてきた。濃いカフェにほんの少しのホットクリームをのせたのをサービスしようかと言うわけだ。
「ああ、頂こう」
うーん、少しは戦況有利か?客と認めれば金払うのはこっちだからね。
腹の探りあいの世間話で相手の器量を覗き込むのがこの辺のシキタリと見て、我々も腰掛け椅子に深く座ったのだった。
「ボンジュール、メッシュウ!」甘い声がしてカフェが運ばれてきた。今どきの娘達はジーンズにタンクトップと決まっているが、この娘は違った。コットンのワンピースというのか前掛けを付けてにこやかだ。イブモンタンの神さんだったシモーレにそっくりの碧眼だ。
この親父の娘か?まさか若い後妻か?などなど、藪から棒に脳みそが錯乱する。
おい、そんな場合じゃないだろ、扉を買い付ける話だろ、アホ!。
            続く (2007/05/21)

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