アンティークドアーの発掘 その5
掃き溜めに鶴・・・などとは言わないが古材屋に突然舞い降りた美しいマドムアゼルに脳みそが錯乱しました。
おい、そんな場合じゃない、扉を買い付ける話だろ、アホ!という天の声に・・・・・はい仕切り直し!
日本風に言うとコーヒーブレークになるが、こっちでも“まあ一服すんべえ”の時はゆったりとした気分になって豪腕爺も心なしか優しく見えるから不思議だ。
「パインの家具やら扉の話をお前はするが・・・・」と爺さんは話始めた。
「もともと、何処にでもある松は家具には向かない素材で、この辺でも百姓家具の素材として使われていたのだ。今では荒く仕上げた風合いとかに人気があるそうだが我々にしてみれば、松ってのは水に強いだけでひん曲がったり節がやたらに多いから高級素材ってランクではないな。
「マホガニーacajouって言ったって、もともとこの国の木では無いから昔の金持ちが輸入材として重宝したに過ぎない。やはり胡桃noyerが一番で二番が樫chene それから別格でオリーブOlivierってところだろうな」
気負いもなく話す爺さんの言葉が、滝から落ちる飛沫のように体に沁みていく。昼下りの広場にはプラタナスの日陰と木漏れ日の矢があって、娘が運んでくれたノワゼットの香りも最高だ。
が・・・・さてさて、爺さんの話も面白いがこっちには空荷のトラックも待っているし、そろそろ商談に入ろうとワタシと相棒は腰をあげた。
続く
(2007/06/14)